「蓄電池に溜めた電気は売電できるの?」
「売電って複雑でいまいちよくわからない…」
家族や近隣の方から「売電収入はお得」という噂を聞き、興味を持っている方もいるでしょう。月々の光熱費削減に加えて収入まで得られるということは、電気代が高騰している昨今において非常に魅力的です。
ただし、売電収入に興味があっても、複雑でよくわからないという方も多いはずです。結論から述べると、蓄電池に溜めた電気は基本的に売電することができません。太陽光発電と併用することで初めて売電が可能になります。
本記事では、蓄電池を利用して売電する際の仕組みや使い方を紹介します。太陽光発電と併用して売電するメリット・デメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
なお、そもそも蓄電池とは何かを詳細に知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

- 蓄電池に溜めた電気を売電することは基本的にできない
- 蓄電池を活用しながら売電するには、太陽光発電との併用が必須
- 蓄電池と太陽光発電を併用してダブル発電すると、売電量を増やせるなどのメリットがある
- 蓄電池を活用しながら売電したいなら、ダブル発電対応製品を選ぶのがおすすめ
※なお、本記事では経済産業省などの情報を参考に記事を制作しています。
蓄電池でためた電気は売電はできない?

先述した通り、蓄電池単体で売電することは基本的にできません。売電できるのは太陽光発電で発電した電気であり、電力会社で買電して蓄電池に溜めた電気ではないからです。
あくまでも、蓄電池は電気を溜めて必要な時に使う設備だと考えておきましょう。蓄電池を活用しつつ売電を行いたいなら、太陽光発電を併設するのがおすすめです。
その際、ダブル発電を行うと売電収入を底上げできる「押し上げ効果」を期待することができます。ダブル発電とは、10kW未満の太陽光発電と他の創エネ設備を併用して発電することです。
例えば、太陽光発電と蓄電池を併用したり、エネファームと一緒に使ったりすればダブル発電に当たります。蓄電池とダブル発電すれば、電気代が安い夜間に買電した電気を蓄電池に溜めておき、日中の電気消費に充てながら太陽光発電を行えるのです。
つまり、太陽光発電の余剰電力が増え、売電収入の増加につなげることができます。
蓄電池を併用して売電する際の仕組み
太陽光発電と蓄電池を併用して売電を行う場合、下記の流れが一般的となります。
それぞれの工程の具体的な内容を見ていきましょう。
太陽光発電で発電する

まずは、売電するために必要となる太陽光発電の電気を日中に発電していきます。太陽光発電で発電できる時間は限られており、太陽光が太陽光パネルにあたる時間のみです。
夜間や太陽光が出ない悪天候時には発電ができません。また、発電量は太陽光パネルの容量や日射量によって異なります。
自家消費する
太陽光発電で電気を作ったら、自宅内で電気の自家消費を行います。自家消費をせずに売電することはできず、自家消費後に余った電力を売電する流れとなります。
つまり「太陽光発電の発電量=売電に充てられる電気量」ではありません。ただし、10kW以上の産業用太陽光発電の場合は、発電した電気をそのまますべて売る「全量売電」が可能となります。
余った電気を蓄電する
蓄電池がある場合、自家消費後に余った太陽光発電の電気はパワーコンディショナを経て蓄電池に溜まっていきます。この段階では、まだ売電はできず、容量いっぱいに電気が溜まるまで待つことになります。
なお、蓄電池の運転モードを切り替えれば、蓄電より売電優先にして売電収入を増やすことが可能です。目的に合わせて、運転モードを切り替えることがおすすめです。
ただし、売電価格は年々下がっており、電力会社から買電するよりも安くなっています。実際に、2025年9月までの売電価格と東京電力のスタンダードSプランの価格を比較すると、下記の通り2倍近くの差があります。
- 2025年度初めから9月までの売電価格:15円
- スタンダードS:29.80円~40.49円(1kWhあたりの電力量料金 )
そのため、蓄電優先モードにし、発電できない時間帯に電気を使う方が経済効果は高いでしょう。必要に応じて希望の運転モードに切り替えて運用してみてください。
蓄電が上限に達したら売電する
蓄電優先モードの場合、蓄電池の容量いっぱいに電気が溜まったら電力会社へ余剰電力が送られ、売電が始まります。売電された電気は、国や契約している電力会社がつけた価格で買い取られていきます。
夜間になって太陽光発電の発電可能時間が終わると、それに伴いその日の売電も終了です。蓄電池に残った電気を規定値まで使い切ったら、電力会社から電気を買い、残りの時間を過ごすことになります。
蓄電池を活用して売電する際の価格相場
蓄電池を活用して売電する場合、価格相場は下記のどちらの状況かによって異なります。
卒FIT後はさらに売電価格が下がることが多いため、事前によく確認しておきましょう。
FIT制度適用時
FIT制度とは、国が決めた固定価格で電気を買い取ってもらう制度のことです。固定価格買取制度とも言われています。FIT制度の売電価格は定期的に見直されており、年度によって下記のように異なります。
年度 | 買取価格(10kW未満) |
---|---|
2015年 | 余剰買取のみで出力制御対応機器設置義務ありの場合35円 |
2016年 | 余剰買取のみで出力制御対応機器設置義務ありの場合33円 |
2017年 | 余剰買取のみで出力制御対応機器設置義務ありの場合30円 |
2018年 | 28円 |
2019年 | 26円 |
2020年 | 21円 |
2021年 | 19円 |
2022年 | 17円 |
2023年 | 16円 |
2024年 | 16円 |
2025年 | 初めから9月まで:15円2025年度10月から年度内:最初の4年間は24円。以降満了まで8.3円 |
経済産業省 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2025年度以降)」
※2015~2019年は余剰買取のみで出力制御対応機器設置義務ありの場合の買取金額
FIT制度の売電価格は表の通り年々下降傾向にあり、2015年と2025年9月までの10kW未満の売電価格を比較すると半分以下です。このまま推移すれば、さらに売電価格は下がっていく見通しとなります。
卒FIT後
住宅用太陽光発電の電気を売電する場合、FIT制度を適用してから10年を超えると契約満了となり「卒FIT」となります。卒FIT後は、ご自身で売電する電力会社を見つけ、契約した上で売電を続ける必要があるのです。
卒FIT後は電力会社によって売電価格が異なるものの、下記のように全体的に価格が大きく下がる傾向があります。相場は、FIT適用時の半額程度になると考えておきましょう。
- 東京電力:8.50円/kWh
- 東京ガス:10.5~23円/kWh ※23円になるのは蓄電池購入サポートプランに加入した場合で半年間のみ適用
- ENEOS:11円/kWh
- idemitsuでんき:9.5~11.5円/kWh ※11.5円となるのは電気の契約をidemitsuでんきにした場合
卒FIT後は売電をしてもあまり大きな収入を得られないため、できるだけ自家消費に充てるのがおすすめです。なお、下記の記事では卒FIT後におすすめの電力会社を紹介しているので、あわせて参考にしてください。

蓄電池と太陽光発電でダブル発電を行うメリット

売電を行う場合は蓄電池とダブル発電をし、押し上げ効果を得て売電収入を増やすのがおすすめです。その他にもダブル発電を行うと、下記のような様々なメリットを得られます。
それぞれのメリットの内容を具体的に理解し、売電以外の観点からも蓄電池と併用した方が良さそうか考えてみましょう。
電力会社からの買電量を抑えられる
蓄電池と太陽光発電でダブル発電を行うと、電力会社からの買電量を抑えられるメリットがあります。というのも、太陽光発電の電気を蓄電池に溜めておけば、太陽光がなく発電できない時間でも溜めておいた電気を使えるからです。
とくにオール電化住宅の場合は、夜間の電気代が安く、日中の電気代が高いプランに加入することが多いと言えます。そんな時、蓄電池の併用で日中の電気をすべて賄えれば、より電気代の削減効果を実感しやすくなるでしょう。
状況に合わせて蓄電と売電を切り替えできる
状況に合わせて蓄電と売電を切り替えできるのも、ダブル発電を行うメリットの一つです。蓄電するか売電するか選べることで、下記の状況を実現できます。
- 売電価格が買電価格より高い時期は売電優先にし、売電収入を高められる
- 売電価格が買電価格より低い時期は蓄電優先にし、電気代高騰の影響を抑えられる
2025年現在は買電価格より売電価格の方が低いため、蓄電優先にして電気代を削減する方がお得になります。今後、売電価格が上がることがあれば、買電価格と比較したうえで売電優先モードに切り替えて運用してみましょう。
緊急時の非常用電源として使える
蓄電池があると、災害などが起きて停電となっても電気を使うことができます。というのも、蓄電池に溜まっている電気は停電の影響を受けないからです。
さらに、ダブル発電を行っていれば毎日太陽光発電で電気を補充し続けることができます。つまり、停電が続いても蓄電池の電気だけで生活し続けることが可能なのです。
また、蓄電池には停電時にすべての部屋で電気を使える「全負荷型」と特定の家電のみを使える「特定負荷型」があります。蓄電池を導入する際は、どちらのタイプにするかも検討してみてください。
なお、下記の記事では災害時の蓄電池の使い方を紹介しているので、あわせて参考にしてください。

売電量を増やしながら電気代の節約ができる
ダブル発電なら、売電量を増やしながら電気代の削減が可能です。電気代が安い時間に買った電気を蓄電池に溜め、日中の電気消費に充てながら太陽光発電を行えば、売電量を底上げできます。
これを「押し上げ効果」と言います。また、蓄電池があることで太陽光発電の余剰電力を優先的に溜めて使い、電力会社からの買電量を減らすことも可能です。そのため、電気代の節約にもつながります。
蓄電池と太陽光発電でダブル発電を行うデメリット

蓄電池と太陽光発電でダブル発電をすると様々なメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。例えば、下記のようなものです。
- 蓄電池と太陽光発電両方の初期費用がかかる
- 蓄電池と太陽光発電両方の設置スペースを確保する必要がある
- 寿命がくると使えなくなる
蓄電池の初期費用は、5kWhの容量で約75〜100万円、太陽光発電は3kWで約90万円が相場です。合わせると165〜190万円とかなり高額になるため、自己資金が少ない場合は導入をためらうこともあるでしょう。
とはいえ、太陽光発電と蓄電池を同時に導入するとセット割が適用されたり、補助額が上がったりすることがあります。うまく活用すればお得に導入できます。
また、蓄電池の平均寿命は10〜15年程度、太陽光発電は25年前後です。ある程度長い年数分持つものの、寿命があることは理解しておきましょう。
太陽光+蓄電池で売電する際の注意点
太陽光発電と蓄電池を使って売電する場合、下記の2点に注意が必要です。
ダブル発電に対応している製品を選ぶ
蓄電池は、すべてダブル発電に対応しているわけではありません。そのため、ダブル発電で押し上げ効果を得て売電収入を上げたい場合は、ダブル発電に対応している製品を選ぶことが必要です。
ダブル発電に対応しているかどうかは、基本的に製品情報ページに記載されています。ダブル発電という単語の記載がない場合は「売電中は放電できない」など、ダブル発電に該当する記載がないか確認してみましょう。
それでも分からない場合は、メーカーへ問い合わせるのがおすすめです。
放電中は少なからず買電が発生する
蓄電池から電気を放出する「放電」の最中には、少なからず買電が発生してしまいます。なぜなら、蓄電池は送電線へ電気が送られないよう逆潮流を制御する機能があり、この制御を行う際に少量の買電が発生するからです。
とはいえ、買電量は常に0.1kWh程度で、金額にすると東京電力のスタンダードSプランの場合は2〜4円程度で済む計算です。大きな出費ではないため、それほど強く懸念しなくても問題ないでしょう。
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項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | FCR株式会社 |
屋号 | トベシンエナジー |
本社住所 | 〒145-0064 東京都大田区上池台5丁目38-1 |
対応エリア | 東京・千葉・埼玉・神奈川・茨城 |
提供サービス | 太陽光、蓄電池、リフォーム |
公式サイト | https://tobeshin-energy.com/ |
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また、トベシンエナジーは自社施工のため、施工費用が比較的安価で施工品質にも自信があります。少しでもお得に導入したい方や、施工不良のリスクを避けたい方は、ぜひご相談ください。
トベシンエナジーの施工実績・口コミ
ここでは、トベシンエナジーで実際に太陽光発電・蓄電池を導入した方の施工事例・口コミをご紹介します。
町田市 K様邸



項目 | 詳細 |
---|---|
エリア | 東京都 |
築年数 | 10年 |
実際の導入費用 | 860,000円 |
補助金額 | 2,500,000円 |
実際に節約できた金額 | 11,010円 |
メーカー(太陽光) | 長州産業 |
メーカー(蓄電池) | 長州産業/SPVマルチ |

電気代がすごく高いのは数年前から感じてた。どうやって電気代を下げようか色々調べていると太陽光を設置すると東京都から補助金が降りることを知った。
そんなに出ないだろうと思ったら2/3くらいの補助金が降りることを知って取り付けたいと思った。現状取り付けてから電気代も下がってすごくありがたい。
40代 男性
足立区 O様邸






項目 | 詳細 |
---|---|
エリア | 東京都 |
築年数 | 5年 |
実際の導入費用 | 790,000円 |
補助金額 | 2,060,000円 |
実際に節約できた金額 | 5,550円 |
メーカー(太陽光) | カナディアンソーラー |
メーカー(蓄電池) | カナディアンソーラー |



太陽光蓄電池の補助金がかなり出ると聞き、見積もり取得。
合計金額に対し7割ほどの補助を受けられる事を知り、設置を決意。
今後電気代の高騰も懸念しているので、電気代削減にも期待をしています。
30代 男性
蓄電池の売電にまつわるよくある質問


最後に、蓄電池にまつわるよくある質問を3つご紹介します。
蓄電池を売電優先モードに切り替える方法は?
蓄電池を売電優先モードに切り替える場合は、下記の手順で操作しましょう。
- ①蓄電池のリモコン画面やタッチパネル画面などで設定ボタンを押す
- ②運転モードの切り替え項目を選択
- ③変更したい運転モードを選ぶ
- ④決定ボタンを押して確定する
具体的な手順はメーカーや製品によって異なるため、製品の説明書などを参照しながら操作してみてください。また、売電価格が下がっている今は蓄電モードで使用する方がお得です。
できるだけお得に蓄電池を使いたい場合は、どの運転モードがお得になるのか、状況を見ながら適切に判断してみてください。
蓄電池に貯まった電力を売電できるサービスがあるって本当?
基本的に蓄電池の電気を売電することはできないものの、一部の会社では蓄電池からの売電プランを実施していることがあります。例えば、東邦ガスの「わけトク」です。


「わけトク」の場合、オムロンの「マルチ蓄電プラットフォーム」や長州産業の「スマートPVマルチ」からなら売電が可能です。さらに、通常の売電価格より高い値段で電気を売ることができます。
ただし、いつでも売電できるわけではありません。蓄電池から売電できるのは、電力需給状況が差し迫っている時のみです。契約する前に、本当にお得かどうか利用条件をしっかり確認しておくと安心でしょう。
蓄電池を設置すると買取価格が下がるの?
蓄電池を設置してダブル発電を行った上で売電すると、買取価格が下がる場合があります。というのも、ダブル発電だと押し上げ効果で意図的に太陽光発電の余剰電力を増やすことができてしまうからです。
売電収入の一部は電力会社から買電している消費者が支払っており、売電量が増えると消費者の負担も増加してしまいます。消費者への負担が過剰に増えないためにも、ダブル発電の売電価格を下げられたのでしょう。
ただし、すべてのケースで買取価格が下がるわけではありません。買電価格が下がるのは、2018年以前にFIT制度の認定を受けている10kW未満の太陽光発電の電気を売る場合のみとなります。
つまり、これから導入する人は無関係となるため、安心して良いでしょう。
まとめ
本記事では、蓄電池を活用しながら売電する方法やダブル発電のメリット、売電時の注意点について紹介しました。すべての蓄電池でダブル発電ができるわけではないため、できるだけお得に使用したいならダブル発電対応製品を選んでみてください。
また、蓄電池は売電優先モードと蓄電優先モードを切り替えることができますが、現状は蓄電優先の方がお得です。とはいえ時期によって状況は変わるため、買電価格と比較しながらより経済効果が高い方を選んでみましょう。
この記事を参考に、蓄電池と太陽光発電を併用して、売電収入だけでなく様々なメリットを得てみてください。